転職するにあたって「ブラック企業を避けてホワイト企業に転職したい」と誰しも思うものです。しかし実際には、ブラック企業かどうかは入ってみなければ分からない、そう思う人も多いかもしれません。
確かに社内にいないと分からないこともありますが、求人票や面接などの段階でもブラック企業の片鱗に気付くポイントはあります。
そこで、この記事ではブラック企業にありがちな特徴や見分け方、そして万が一入社後にブラック企業だと判明してしまった時の対処法まで解説します。より良い職場を見つけて新たな一歩を踏み出したい人は、ぜひ参考にしてください。
ブラック企業とは具体的にどんな企業なのか?
ブラック企業とは、従業員の権利を軽視し、過度な負担を強いる職場環境の企業を指す場合が多いものの、明確な定義はありません。
しかし、厚生労働省がブラック企業と呼ばれる基準を以下のように発表しています。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントの横行など企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
引用:厚生労働省 確かめよう労働条件|「ブラック企業」ってどんな会社なの?
また、厚生労働省が公表しているブラック企業の一覧(労働基準関係法令違反に係る公表事案)も参考にすると良いでしょう。各都道府県労働局の公表をまとめたものであり、中小企業が多い傾向にはあります。ただし、これはあくまでも労働基準関係法令違反となった企業のリストです。一覧に掲載されていないからといってブラック企業ではないとはいえません。そのため、これから転職を考えているなら、ブラック企業を事前に見極める目を養っておく必要があります。
ブラック企業によくある特徴
ブラック企業にはいくつか共通した特徴があります。以下の特徴を把握しておけば、転職を検討する際に、応募先がリスクのある企業かどうか判断しやすくなるでしょう。
労働時間が著しく長い
ブラック企業では、法定労働時間を大幅に超える長時間勤務が常態化しがちです。
そもそも法定労働時間は1日8時間・週40時間と定められています。時間外労働にも上限があり、原則として月45時間・年360時間を超えてはいけません。
そのため、朝早くから深夜まで働かされる、残業が日常的に発生する職場は該当する場合が多いでしょう。
サービス残業が多い
残業しても残業代が支払われないサービス残業が常態化しているのもブラック企業によくある特徴です。
タイムカードを打刻した後も残業させられるといったケースはよく聞かれます。また、固定残業代の契約となっている場合に、規定の残業時間を超えた際に追加で支給されてないのもサービス残業です。
このようにブラック企業では、従業員に業務終了後の仕事を暗黙の了解として求める場合があります。いずれにせよ、残業代の未払いは違法です。従業員が本来受け取るべき賃金を損失しているのだと認識しましょう。
有給を取れない・休日出勤をさせられる
有給休暇があっても事実上使えない環境や、休日出勤の強要もブラック企業によく見受けられます。
このような職場では、プライベートな時間が確保できないばかりか、休養が十分とれず仕事のパフォーマンスも低下しがちです。
そもそも、有給休暇は労働者の権利であり、本来なら理由なしで取得できるものです。そのため、有給を取らせてくれない会社はブラックといって良いでしょう。
募集要項と実態が異なる
求人情報で提示された条件と実際の業務内容や待遇が異なることも、ブラック企業の典型例です。給与や休日といった待遇面をはじめ、仕事内容が大きく変わるケースまであります。
悪質な場合は、応募者を集めるために採用後に意図的に異なる条件で仕事をさせる場合もあるようです。このような場合は、違法となるケースもあります。
ハラスメントがある
ブラック企業では、職場でなんらかのハラスメントが横行しているケースが少なくありません。
パワハラやセクハラをはじめとしたハラスメントが常態化していると、従業員が精神的な苦痛を感じるのは当然です。ハラスメント自体は、それをしている人の問題ではありますが、会社のハラスメント対応窓口に訴えても改善されなければ、会社自体にも問題があるといえるでしょう。
離職率が高い
上記のような体質の会社であると、必然的に離職率は高くなります。一定期間のうちに退職した人の割合を高くなるため、人材が定着せず常に人手不足の状態となり、業務はさらに大変になります。在籍している従業員のストレスは溜まる一方であり、さらなる悪循環となるでしょう。
ブラック企業の見分け方
ブラック企業を避けるためには、前述した特徴を踏まえて入社前に見極めなければなりません。
できれば求人票や企業研究、説明会や面接といった場面で見分けて、「やばい会社」を避けたいものです。しかし、実際に働いてみなければ分からないケースもあるでしょう。そのため、入社後の段階で冷静にブラック企業だと判断する基準も解説します。
求人票・企業研究における見分け方
求人票や企業研究の段階では、企業の実態を探るために確認すべきポイントがあります。
まず、求人票の内容が過度に曖昧で、具体的な仕事内容や給与条件が記載されていない場合には注意が必要です。「やりがいのある仕事」「アットホームな職場」といった抽象的な表現ばかりが強調されている場合も、実態がブラックな可能性があります。求人票の場合は、掲載期間が長すぎるのも要注意です。いつまでも応募者がこない、採用してもすぐに辞められてしまうといった可能性が考えられるためです。
また、給与が高すぎる・低すぎる場合も要注意。一見給与が高いように見えて、固定残業代やノルマ達成による手当が含まれている場合もあるようです。
企業研究においては、離職率・残業時間・有給取得率・福利厚生・労働組合の有無を調べておくと良いでしょう。
また、企業の口コミサイトや転職サイトの評判をチェックするのも効果的です。離職率の高さやネガティブな評価が目立つ企業はリスクが高いと判断できます。
また、厚生労働省のブラック企業リストもあわせて確認しておきましょう。
説明会・面接における見分け方
説明会や面接では、直接企業の担当者と接するため、ブラック企業か否かの判断材料を得られます。
まず、説明会で労働条件や福利厚生について具体的な説明がない場合は、要注意です。また、社内の雰囲気や価値観が一方的に強調され、働く環境について詳細が語られない場合も怪しい兆候といえます。
面接の場では、労働時間や休日、有給休暇の取得状況について質問してみましょう。その際、面接官が明確な回答を避ける、話題を変える、精神論ばかり主張するといった対応であればブラック企業の可能性が高いといえます。
さらに、面接官の態度も重要な判断材料です。高圧的な態度や威圧的な言動が見られる場合、職場全体もその傾向なのかもしれません。
社内の様子であれば、整理整頓ができているか、社員の様子はどうかも見ておくと良いでしょう。業務に余裕がなくて整理や清掃まで行き届いていない可能性があります。
入社後の見分け方
事前に調べていても、実際に社内にいないと分からない事柄は多く、入社後にブラック企業だと気付くケースもあるでしょう。
まず、求人票や面接時に説明された内容と勤務実態が大きく異なる場合には注意が必要です。
例えば、実際の労働時間が長時間に及ぶ、残業代が支払われないといった問題がある場合には、ブラック企業だといえるでしょう。
また、有給休暇の取得が事実上認められていない場合や、休日出勤が当たり前のように強制される、勤務時間外にミーティングがある場合も問題です。さらに、職場内でのハラスメントや、従業員同士の関係が極端に悪化している場合も見過ごせません。精神的な負担が増えるため、速やかに対策を考える必要があります。
もし入社後にブラック企業だと分かったら
前述した特徴や、入社後の見分け方を踏まえて、「自分の勤めている会社がブラック企業かも」と思ったら、どうしたら良いのでしょうか?
まずは、ブラック企業だと感じた事柄の証拠を確保しましょう。そのうえで、しかるべき窓口に相談する、場合によっては訴訟した方が良いケースもあります。
また、どうしようもなく酷いブラック企業であれば速やかに退職した方が良いでしょう。
以下で、自社がブラック企業だと気付いた際にすべきことを解説します。
トラブルの証拠を確保する
まず、ブラック企業である、違法である事柄の証拠を確保しましょう。
残業代が支払われていない、パワハラがあるなど、なんらかの問題があるはずなので、その証拠を残しておけば、後々役立ちます。
例えば、長時間労働や未払い残業代などの問題がある場合は、タイムカードのコピーや給与明細、勤務記録を保存しましょう。また、ハラスメントに関する問題がある場合は、録音やメールなどのやり取りを証拠として確保してください。相談する際はもちろん、もし訴訟になっても証拠は不可欠です。しっかりおさえておきましょう。
内容によっては相談や訴訟を検討する
ブラック企業の問題をどこに訴えるかは、内容や会社の体質によって異なります。
会社にハラスメント窓口があるなら、まずはそちらに相談するのも良いかもしれません。しかし、窓口が形骸化しているなら、労働基準監督署(労基)に相談する選択肢もあるでしょう。労基は、労働条件や賃金に関する問題を扱っており、違法行為が認められる場合には企業に指導が入る可能性もあります。
また、未払いの残業代などを請求するなら弁護士への相談が良いかもしれません。場合によっては訴訟となる可能性もありますが、専門家のアドバイスを受ければ、適切な対応策が見えてくるでしょう。
著しく酷いブラック企業であれば速やかに退職する
問題が改善される見込みがなく、自身の健康やキャリアに悪影響を与える状況であれば、早急に退職を検討すべきです。
ただし、企業(就業規則)により退職までの期間が異なるため注意してください。また、転職先を見つけてから退職したいなら、転職活動を早く始めておきましょう。
いずれにせよ、退職の際には感情的にならず、冷静に手続きを進めることが大切です。自身の心身の健康を脅かす前に環境を変えてみましょう。
まとめ|ブラック企業の見分け方を知って転職を成功させよう
ブラック企業を避けるためには、事前に入念な情報収集を行い、企業の実態をしっかり見極めることが肝要です。
しかし、それでも入社してからブラック企業であると実態をつかむ場合もあるでしょう。そんな時は、冷静に証拠集めから行い、改善の余地がなさそうであれば、速やかに転職・退職を視野に入れることをおすすめします。
ブラック企業は心身をすり減らす悪しき環境です。転職の際のリスクを減らせるように、できる対策はしておきましょう。
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