職務経歴書における志望動機を考える際に、「なぜこの会社でなければならないのか」が、ぼやけたままではありませんか?
志望動機は、採用担当者に自分の熱意やスキルを伝えるのに欠かせない部分です。しかし、具体的な書き方や何をアピールすべきか悩む転職希望者は少なくありません。
そこでこの記事では、志望動機をしっかりと書き上げるための基本的な構成や例文、志望動機が思いつかない時の対策まで解説します。説得力のある志望動機を書きたい方は、ぜひ参考にしてください。
職務経歴書に志望動機の記載は必要か

職務経歴書では職務要約が重視されがちですが、志望動機も重要な要素の1つです。しかし「履歴書にも書くからいらないのでは?」と思って、志望動機を書かない方もいるかもしれません。
確かに重複する部分はありますが、履歴書よりも欄が広い場合が多いため、上手く書けば採用担当者へ効果的にアピールできます。そのため、熟慮を重ねて書き上げましょう。
採用担当者に入社後の姿をイメージしてもらうため
志望動機をしっかり記載すると、入社後どのように活躍できそうか、採用担当者がイメージしやすくなります。
採用担当者は経歴だけでなく、志望動機を通じて応募者がその企業を選んだ理由やどのように貢献できるか、企業のビジョンや目標とのマッチングを判断しています。
そのため、志望動機に具体的なビジョンが示されていれば、企業にとって価値のある人材として評価されるかもしれません。
履歴書と職務経歴書の志望動機がかぶるのは問題ない?
履歴書と職務経歴書の志望動機がある程度重複しても問題ありません。ただし、履歴書と職務経歴書の志望動機欄はスペースが異なる場合が多く、一般的には履歴書の方が小さいはずです。
そのため、同じ内容を書くのであれば、履歴書の志望動機は内容を要約するなど文量を少なくすると良いでしょう。
職務経歴書に書く志望動機の基本的な構成
職務経歴書の志望動機は基本的に、結論・理由・企業の魅力・入社後のビジョンの4つの構成から考えると良いでしょう。文字数の目安は欄のスペースにもよりますが、概ね200〜500文字程度と考えてください。
また、履歴書と異なりある程度フォーマットが自由な職務経歴書では、どこに志望動機を書けば良いか迷う方もいるかもしれません。一般的には、職務経歴書の最後に志望動機を書く場合が多いでしょう。ここからは、志望動機の構成について解説します。
1.結論・まとめ
志望動機の冒頭は、結論から書き始めましょう。書き出しの部分は第一印象を左右するため、採用担当者を惹きつける文章にしたいものです。
例えば「転職して叶えたいこと」を記載するのも良いでしょう。「転職により、〇〇を目指したい」「〇〇のスキルを発揮したい」といった具合です。それから、続いて2の理由に言及していきます。
2.結論の理由
1の結論に続けて、その理由を述べていきましょう。具体的な経験やエピソードを入れると説得力が増します。
例えば、「前職で〇〇の業務に携わった経験から、より専門性の高い仕事をしたいと感じた」のように記載するのも良いでしょう。
携わった業務など具体的な事柄を絡めながら記載すると、なぜ1のような書き出しになるのかスムーズに理解してもらえます。
3.企業の魅力
次に、企業の魅力を具体的に伝えます。なぜその企業に惹かれたのか、その企業でないとならないのかに言及するため、企業理解の深さが問われます。
企業のビジョンや企業文化、商品やサービスなどをはじめ、実績や実務内容に関連するものでも構いません。
その企業ならではの理由が必要であるため、どの企業でも当てはまりそうな内容は避けましょう。
4.入社後のビジョン
志望動機の最後には、入社後の具体的なビジョンを記載しましょう。入社後に実践したいこと、自分の能力を活かして貢献できることがおすすめです。
また、締めくくりとなる部分であるため、前向きな言葉で締めましょう。採用担当者にその企業で活躍する姿をイメージしてもらいたいものです。
職務経歴書の志望動機の例文〜良い例と悪い例〜
職務経歴書の志望動機の構成を把握したら、具体例を参考にしてより良い文章にブラッシュアップしていきましょう。
ここからは志望動機の文章について、採用担当者に響く良い例と避けるべき悪い例について解説します。それぞれの例を見比べて、志望動機を改善させましょう。
良い例
良い志望動機は、具体性や長期的な視点があり、自分の経験と企業のニーズを結びつけています。企業の魅力や入社後のビジョンをしっかりと示すことで、採用担当者に「この人と一緒に働きたい」と思わせられるかが鍵となるのです。採用する側にメリットを感じてもらえる志望動機にしましょう。
「私は、これまで10年間の営業経験を通じて、顧客ニーズに基づく提案力と、迅速な問題解決能力を培ってまいりました。特に、前職での〇〇プロジェクトでは、売上を20%向上させた実績があり、この経験は御社が掲げる〇〇の課題解決に貢献できると考えております。御社の〇〇に共感し、これまでのスキルを活かしながら新たなビジネスチャンスを創出したいと考え、志望いたしました。入社後は、既存顧客の満足度向上と新規顧客開拓に力を入れ、3年以内に〇〇%の売上成長を達成することを目標としています。」
上記の例は以下のポイントが良い点として挙げられます。
- 自分の実績を具体的な数値で示し、説得力を持たせている
- 企業の課題や目標に対して、どのように貢献できるかを明確にしている
- 入社後の目標も具体的に示し、採用担当者に長期的なビジョンを伝えている
ぜひ取り入れて、自分の志望動機をブラッシュアップしていきましょう。
悪い例
悪い志望動機の多くは、抽象的で積極性がない、企業の特徴や自分の強みが十分に示されていない点が特徴です。また、消費者視点でいる、労働条件がメインとなっているのも悪い印象をもたれかねません。
「私は、御社の安定した経営基盤に魅力を感じ、応募いたしました。現在の職場では、やりがいを感じられなくなり、将来的にキャリアアップを考えています。御社であれば、自分の経験を活かしつつ、より良い環境で働けると考えています。」
上記の例は以下のポイントが問題点として挙げられます。
- 具体的な経験やスキルのアピールが不足しており、説得力に欠ける
- 転職理由がネガティブで、自己中心的な印象を与えている
- 企業に対する理解や入社後の貢献意欲が見られない
自分の経験を具体的に示して、企業のニーズと結びつけるよう改善が必要です。また、転職理由をポジティブに変え、企業への貢献意欲を明確にすることで、より良い志望動機に変わるでしょう。
どうしても志望動機が思いつかない時にできること
志望動機がなかなか思いつかず、焦ってしまうこともあるでしょう。そんな時は、以下の方法を試してみると良いかもしれません。
- 転職したい理由を振り返る
- 企業研究をする
- キャリアの棚卸しをする
ぜひ試して、自分にとって納得のいく志望動機を見つけ出しましょう。
転職したい理由を振り返る
まずは、自分がなぜ転職をしたいのか振り返りましょう。現在の職場で感じている課題や不満、求めている成長やキャリアの方向性など、転職のきっかけが何かしらあるものです。例えば、高い給与やワークライフバランスの改善、より専門性の高い仕事への挑戦などがあるでしょう。
このように、転職したい理由に立ち返ってみると、その企業を志望する理由と関連している場合も少なくありません。自分の価値観やニーズが明確になるため、応募企業でどのように働きたいかを考えるヒントにもなるでしょう。
企業研究をする
志望動機を見つけるためには、応募先の企業研究が欠かせません。企業のウェブサイトやニュースリリースを通じて、ビジョンやミッション、事業内容、そして企業文化などを詳細に調べましょう。
企業が抱える課題や成長の方向性を理解すれば、「この企業で何を実現したいか」が具体的に見えてくるはずです。例えば、「御社の〇〇というプロジェクトに共感し、自分の〇〇のスキルを活かして貢献したい」といった志望動機が考えやすくなります。
企業研究により、志望動機の構成の3「企業の魅力」を具体的に捉えられるため、説得力のある志望動機となるでしょう。
キャリアの棚卸しをする
キャリアの棚卸しは、これまでの経験やスキルを整理する作業であり、志望動機を作成するうえで非常に有効です。
過去のプロジェクトや達成した成果、そこで得たスキルや知識を振り返り、応募企業のニーズにどう応えられるかを考えましょう。例えば、「前職で〇〇のプロジェクトを成功させた経験があり、御社が進めている〇〇事業にも役立てると考えている」という志望動機を導き出せるかもしれません。
このように、キャリアの棚卸しにより、志望動機の4「入社後のビジョン」の記述に役立てられるでしょう。
キャリアの棚卸しについては、こちらの記事で解説しています。
まとめ|職務経歴書の志望動機は応募先企業に合わせて考えよう
職務経歴書の志望動機は、企業に対する意欲や入社後の貢献意欲を具体的に示す重要な項目です。採用担当者に「この人と一緒に働きたい」と思わせるためには、自分の経験やスキルを企業のニーズにどう活かせるかを具体的に伝える必要があります。
また、志望動機が思いつかない場合でも、転職理由の振り返りや企業研究、キャリアの棚卸しにより、しっかりとした内容を作り上げられるはずです。応募先企業ごとに志望動機を考え、転職活動を成功させましょう。